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保護犬について

保護犬の抱える問題
日本の保護犬事情

日本では1年間に13万匹以上の犬猫たちが保健所に収容され、そのうち8万匹ほどの犬猫が保健所で殺処分されています。(平成27年)

自治体と保護団体による返還や譲渡といった積極的な活動と、飼養できなくなった動物たちの自治体への持ち込みに規制を設けた2012年の動物愛護法改正の甲斐あって、統計上では自治体における殺処分数は減少しています。

しかしながら、いまだに営利を優先し過剰繁殖を繰り返すブリーダーも多数存在し、飼い主が安易に飼育放棄してしまうことも多く、自治体に代わって動物を引き取り、実質的な殺処分を行なっている”引き取り屋”という闇市場の広がりには歯止めがかかっていません。

また2021年6月から、ブリーダーやペットショップに対して飼育数や管理方法などに関する数値規制が導入されますが、今後の規制対象には保護団体も含まれているため、行き場をなくす動物たちがさらに増加することが予想されています。

保護犬とは、上記のような自治体や引き取り屋による殺処分を免れ、新しい居場所を探している犬たちのことを言います。

しかし最近は、住宅事情やライフスタイルの変化から飼育に対するハードルが高くなり、国内飼育頭数も急減しており、多くの保護犬はシェルターや一時預かり宅にて里親を長期間探し続けることになります。 特に中・大型犬やシニア犬では譲渡先が生涯見つからないことも少なくありません。

保護犬たちのストレス

海外の研究では、シェルターで生活している犬は、一般家庭で生活している犬と比べて、ストレス負荷時に分泌されるホルモンであるコルチゾールの値が3倍近く高いことが明らかになっています。

一方、米ライト州立大学の動物心理学専門家Hennessy博士の研究グループは、シェルターで生活している犬のストレス低減に、人間との接触が有効であることを証明しています。

この研究では、シェルター犬は知らない人たちと接触することによっても、コルチゾール値が有意に低下する(あるいは上昇率が減少する)ことが明らかになりました。

つまり見知らぬ人であっても人との接触そのものが、多くのシェルター犬にとってストレス緩和につながりうる有益な行為であると言えます。

メディアではトラウマをもつ保護犬が特集されることが多く、この報告に矛盾を感じるかもしれませんが、犬の育種学的な歴史を考えてみると合点がいきます。

犬はもともとオオカミから品種改良されたことは有名ですが、その改良の基準として、人間に対して好意的で協調的な個体のみが選択育種繁殖され、現在の犬という種が確立されました。この事実を踏まえると、個体差はあれど遺伝的には犬は人間を好む生き物であると考えられます。

保護犬たちの社会化

保護犬の譲渡の際は、犬のことを深く理解してくれる愛情深い里親を探すだけではなく、犬側においても「社会化」の準備を行なっていることが非常に重要です。

保護犬によって、抱えている過去や克服するべき事項はそれぞれ異なりますが、彼らを取り巻く、人・他の動物・家・車などを含めた「社会」を知ることが、彼ら自身のQOLの向上につながります。

動物福祉が急速に発展しているアメリカやオーストラリアなど海外の保護団体においては、より多くの人々や異なる環境と触れ合わせる事によって保護犬たちの社会化を促進させようと、オフィスや結婚式場といったさまざまな施設への派遣プロジェクトが行われています。(Uber Puppies by UberやSnuggle Delivery by The Humane Society Of Broward Countyなど)

 

いずれの保護団体も、保護犬へのメリットとして社会化だけでなく、譲渡の機会増加や保護犬の運動不足又はストレスの解消なども挙げており、どの効果も実感されているようです。

参考文献

Matthew D Shiverdecker, Patricia A Schiml, Michael B Hennessy. Human interaction moderates plasma cortisol and behavioral responses of dogs to shelter housing. Physiol Behav. 2013 17;109:75-9.


Michael B Hennessy, Harry N Davis, Michael T Williams, Carolyn Mellott, Chet W Douglas.Plasma Cortisol Levels of Dogs at a County Animal Shelter.Physiol Behav. 1997 Sep;62(3):485-90.


Alexandra Protopopova, Lisa M Gunter. Adoption and relinquishment interventions at the animal shelter: A review. Animal welfare. 2017 26(1):35-48


Jill U. Adams. Genetics of Dog Breeding. Nature Education 2018 1(1):144
 

※記事の無断転載禁止

私たちの抱える問題

近年、仕事・住居・ライフスタイル・年齢などさまざまな問題で犬を飼うことを諦めているという人は70%以上にのぼり、国内の飼育世帯数は減少しています。

しかし、そのような人が気軽に犬と触れ合えるサービスは猫のそれと比べ、極めて少なく、犬好きの人の犬欲はなかなか満たされることがありません。

実はこれは、多くの犬好きの人が「犬とふれあう」機会を逃しているだけではありません。

「犬とふれあうことによって得られる心身の健康」を実感する機会を失っているのです。

Buddiesの提案する解決策
保護犬たちの新しい受け皿としての役割

現在は自治体や保護団体が保護動物たちを一時的に受け入れ、譲渡先を探すことで、保護動物たちの命を守り繋いでいます。しかし、動物の保護や質の高い活動の継続には、スペースや人手、資金が莫大に必要となります。

自治体では使用できる資源には限界があり、保護団体では寄付やボランティアに頼らざるをえません。

寄付やボランティア文化がまだまだ根付いていない日本において、私たちはソーシャルビジネスという形で、保護犬たちの新しい受け皿として持続的な保護犬のサポートを目指します。

保護犬たちへのサポート

現在の保護犬たちには、大きく分けると、譲渡か殺処分の道しかありません。毎月の譲渡会において運命的な出会いをただ待つのではなく、さまざまな人や環境と日常的にふれあうことで、保護犬自身の社会化の練習・認知や譲渡の機会増加・運動不足やストレスの解消などを達成できると考えています。

また日常的に獣医師/ペット栄養管理士の管理の元、良質な食事、毎日のお散歩、休日のお出かけや定期的な健康診断など、一般家庭と変わらない生活を提供しており、生涯を通した保護犬たちのQOLを向上させます。

利用者の方へのサポート

利用者の方には、ただ犬とふれあいたいというだけでなく、保護犬問題に関心はあるものの、里親になることもできず、ボランティアの条件(奉仕時間や経験など)もなかなか満たすことができないと悩んでいる方も多くいらっしゃいます。

そのような方に、獣医師のフォローの元で安心して楽しみながら、保護犬を支援することができる新たな機会を提供しています。

保護犬のことを認知し、発信してくれる方の数を増やしていくことによって、日本国内の動物福祉レベルの底上げを目指します。

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